'14.6.1 蝙蝠が飛ぶ

5月も終わりが近づいたある夜のこと。寝ていた私はうるさくて覚醒しました。最初は部屋の外、窓の近くを鳥が飛んでいるな、と。しかし音が去って行かないので、次に考えたことは天井裏を小さなネズミが右へ左へ走っているな、と。しかし私の部屋には天井裏はありません。次に考えたことは、大きな蛾が部屋の中を飛んでいるな、と。で、目を開くと、電源タップのランプのかすかな光の中、寝ている6畳間の天井を影がくるくる回っています。そしてパタパタと羽ばたく音が。あー、と思いました。これは蝙蝠だー。

布団の中で考えました。いつ、どこから入り込んだんだろう、って。まるで記憶がありません。それにしても羽ばたき音が鳥とは違うなぁ、音だけ聞いていると蛾に近い、破れそうな薄い皮膜らしい音だよなぁ、狭い部屋の中なのにくるくるとよく回るな、スピードも相当出しさすがだなぁ、こいつ飛びながら糞とかしないだろうな、どうしようかな、立ち上がって蝙蝠とぶつかったりしがみつかれたりしたらやだなぁ、などとぼんやり考えた後に、部屋から出て行ってもらうことにして、布団から抜け出して身をかがめて窓を開けました。

すると、蝙蝠は音に驚いたのか身を潜めてしまいました。私は再び布団に潜り込み、出て行くのを待ちます。首を曲げて窓を見上げると濃紺の夜空。なんか、ずいぶん待った後にかさこそかさこそと音がして、ぱたぱたぱたぱたと蝙蝠が飛び始めました。さっさと出て行けば良いのに部屋の中をくるくる回ってなかなか出て行きません。なぜか隣の四畳半でくるくるまわりはじめたりして。いちど窓のかすめたのですが、カーテンに接触して出られず、部屋の中へ逆戻り。あーぁ、と思いました。

それなりに時間が過ぎた後、ひらひらり、と蝙蝠は窓から出て行きました。やっと出てった。これで窓を閉められる。寝られる、と思ったのですが、もう目が冴えちゃった。あーぁ、と思いました。これは今日はしんどいわ。

ウィキペディアを見たら、たぶんアブラコウモリで雄は3年ほどで雌も5年という寿命。しかも雄のほとんどは1年未満で死んでしまうとか。はかない。結構可愛い生き物だと思うのですが、野生動物であるからにして、噛まれたり引っかかれたりしたら狂犬病の危険があったり、飛行中に糞をするので（朝、枕元に落ちてた黒いあれはたぶん糞ではないか）勝手に入ってこられるのは困ります。丁寧にお引き取り願うところ。蝙蝠という文字が福という字に似ていて縁起が良い動物とされていて、昔から蝙蝠が家に入るのは縁起が良いとされるとのこと。ずいぶん前にも蝙蝠が迷い込んできたことがあって、これで二度目です。前回は良いことがあったかなぁ？

まぁそんな感じで。